むかしむかし(7世紀)、ある人里離れた森の中に、神のことだけを想って隠遁する男がいた。その名を、アルボガスト。高貴な家の出ながら、人知れず生きることを望み、アルザスの森に落ち着いたのだ。しかし、そんな彼のもとに、どこからともなく修道士たちが集まるようになる。その地は、やがて、「聖なる森」と呼ばれるようになる。

聖なる森、アグノーの森のナラの巨樹。1913年11月13日に落雷を受けた。
あの11月13日から、今年で7年…。
アルボガストは、シュルブールにアルザスで最初の修道院を建てる。

シュルブールの聖アルボガスト修道院。
彼は、優れた聖職者の育成に熱心だった。
以降、アルザスでキリスト教がどんどん広まっていく。
フランク王国のダゴベルト王は、アルボガストを宮廷に呼び、助言を求めた。当時のストラスブール司教のロテールが亡くなると、王は、誰もが最もふさわしいと認めたアルボガストをストラスブールの
13代目司教に指名した。

彼は、後にストラスブール大聖堂が建てられる地に、教会の礎を築いた。
新しい地位にあっても、変わらぬ
謙虚さ、
世の中の騒動にあっても、変わらぬ
平和の精神、
忙しさにあっても、変わらぬ
静かな愛、
教会の財産を管理する立場にあっても、変わらぬ
無私の心、
を持ち続けた。

アグノーの森の庵跡に建てられた礼拝堂。
678年に永眠。
彼が生前に望んだように、犯罪者の処刑所となっていた小高い丘に埋葬された。
現在は、ストラスブールの聖バルバラ病院となっている。

聖バルバラ病院の礼拝堂。
私は、13年住んでようやく、我が家の近くの森が聖なる森であることを知った。
聖なる森は、世界中どこにでも存在しうる。
フランスアルザスだったら、
大聖堂や教会だって、そう。

カーナビに頼らないで、行けるはず。
あなたの町の聖なる森への入口は、どこですか?
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