日本では、
プレッツェルの名前で知られる、穴の3つ開いたスナック菓子。
ヨーロッパでは、
ブレッツェル(ドイツやフランスでは「プ」ではなく「ブ」で発音する)の名前で、独特な形のパンで、知られている。
『魔女の宅急便』のおソノさんのお店の看板でもお馴染みのブレッツェル。
様々な言い伝えがあり、世界中でドイツ発祥の食べ物として認識されているが、私は
アルザス発祥説が有力だと思う。
起源は
7世紀頃と言われ、古くは、
聖オディール修道院の文書(12世紀)にブレッツェルが登場する。

今日は、15世紀の言い伝えをご紹介したい。
---
1477年、アルザスの町ブクスヴィレー(またはイングヴィレー)で、パン職人が無実の罪で捕らえられた。理由は、領主の食べたパンが美味しくなかったから。領主は大変お怒りで、そのパン職人を処刑する気であった。

赦しを乞うパン職人の妻に対し、領主は、「これから3日で、
太陽が3つに見えるパンを作れたら許そう」と言った。3日間悩むパン職人。胸で腕を組んで祈る妻の姿を見て、パン職人は、生地をねじりあげ、穴の3つ開いたパンを編み出した。(ブレッツェルの語源は、ラテン語の「brachium(腕)」)

窯に入れようとしたときに、窯を洗うために用意していた重曹の中に、ポトンと生地が落ちてしまう。作り直す時間がなかったため、そのままブレッツェルを焼き上げた。こんがり焼けた、太陽の3つ見えるパンが完成!ブレッツェルのおかげで、パン職人は死刑を免れた。
---
その後、アルザスでは、パンの同業組合の紋章にもブレッツェルが使用された。

10月を待たずに今開催されている東京の
オクトーバーフェストが大盛況(今年で
20周年!)だが、
ミュンヘンのオクトーバーフェストでお馴染みのブレッツェル。

渇きや疲れを吹き飛ばしてくれる、ビールののどごしと爽快感。
難しいことを考えずに気持ちよく飲めるビールには、シンプルなブレッツェルがよく合う。
アルザスのブレッツェルの会社といえば、Boehli。
マルセル・ブーリが1935年にアルザスの小さな町にパン屋を開いたことから、その歴史が始まる。

2日で固くなってしまうパンのブレッツェルを、どこにでも持ち運べていつでも食べられるスナック菓子にした。
家族の絆から生まれた店から、世界的企業へ。
バトンは、メケルト家が引継ぎ、アルザスを代表するグループとなった。続きはまたそのうち!
アルザスには、「
人類が幸せになるための秘訣」が隠れているような気がしてならない。
ブレッツェルも、その鍵の一つ。

腕を組んだポーズは、
非暴力の印。
夫婦の愛から生まれたブレッツェル。
ハートの形に似ているブレッツェル。
今日は、
ペンテコステ(聖霊降臨日)なので、
穴の3つ開いたブレッツェルを見ながら、
三位一体を想うのもオツかもしれない。
スポンサーサイト
コメント