1923年10月4日に生まれた
チャールトン・ヘストン 。
今日は、彼の生誕100周年を記念して、私の独断と偏見から、チャールトン・ヘストンを紹介したい。
チャールトン・ヘストンは、1940年代~2000年代の
大御所 俳優。
スキャンダルもなく誠実な人柄で、俳優仲間からの信望も厚かったことで知られている。
キリスト教徒で、1944年に女優のリディア・クラークと結婚し、自身が亡くなるまで64年間連れ添った。
これって、かなりすごいこと!
なにせ映画撮影の現場は、一つの目的を目指して、何日間も男女が同じ場所で過ごす場所。
情熱を持った人たちが集まり、日常生活とはかけ離れた空間で、絆を作り、深める。
よほどの信念がない限り、特別な感情に身を委ねてしまってもおかしくはない。
60年のキャリアの中で様々な有名作品に出演したり、映画俳優組合の会長を務めたりしていたが、奥さんを大事にしていたということが、チャールトン・ヘストンの魅力を最も美しく表す事実だと私は思う。
彼は
聖書を映画化 した作品にもいくつか出演しているが、彼が主役を演じた『
十戒 』と『
ベン・ハー 』は、日本でも有名だろう。
聖書に描かれる奇跡に対して、日本人は懐疑的だと思うが、『ベン・ハー』は、登場人物の描写が素晴らしく、安心して見ていられる。(ちなみに
監督はアルザス人 !今年で公開から70周年となる『
ローマの休日 』も監督した。)
個人的なお勧めは、東京出身の
フランクリン・ジェームス・シャフナー 監督の『
猿の惑星 』(1968年)。
ティム・バートン監督の『猿の惑星』もいいが、『ロミオとジュリエット』と同じで
1968年 の作品の方が、味があっていいと私は思う。
俳優の演技が素晴らしいのに加え、CGではない景色、セット、衣装、メイク、音響…どれも情緒に富んでいる。
アメリカの
SF映画の金字塔 となったこちらの大作だが、原作者は実はフランス人。今から
60年前 に発行された小説を基に製作されている。「
自由 」を追い求めたフランス人が提示した辛辣なメッセージは、鳥肌もの!
2002年のドキュメンタリー映画『
ボウリング・フォー・コロンバイン 』を見た人も多いだろう。
全米ライフル協会会長だったチャールトン・ヘストンが、たびたび登場する。
マイケル・ムーア からインタビューを受け、タジタジになっている(ように見える)様子が最後映し出される。
銃社会 容認の根源にあるものは何なのか?
日本人には理解し難い。
実は、国から個人が「
自由 」でいるための道具がアメリカ人にとっては「銃」なのだ。
それが暴力の道具に使われてしまっているのは悲しい事実だが、アメリカ人にとっては「銃が奪われる=自由が奪われる」こと。
学生時代に『ボウリング・フォー・コロンバイン』を見たとき、「銃社会は怖い」という印象しか、頭に残らなかった。
このドキュメンタリーを見る時には、もう一つ違った視点が必要。
1791年に制定されたアメリカ合衆国憲法修正第1条には「
表現の自由 」が、第2条には「
武装権 」が記載されている。
200年以上、国民が銃を持つことを憲法で認めてきたアメリカ。
学校などで銃の乱射事件が起こるようになったのは、最近のこと。
あまりにも簡単に銃が手に入る社会。
子供の手が届くところに銃がある社会。
悪いのは単純に「銃社会」?
何が正しくて何が間違いなのか、何をすべきで何をしてはいけないのか、人間は、人間の権威に依存しなくても、悟ることができる。
自由には責任が伴う。自由はわがままとは違う。無責任ではない。 チャールトン・ヘストンは、今からちょうど
60年前 、1963年8月28日、
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア が有名な演説を行ったワシントン大行進に参加した。
あなたたちが夢見た
自由とは …。
あなたたちがいなくなった後のアメリカで、初めての黒人大統領になったオバマは、任期の数年間で、世界中色んな所で、民間人を含む死体の山を築き上げたよ。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが、「
I Have a Dream(私には夢がある) 」と演説したことは日本人でも大半が知っていると思う。だが、彼がプロテスタントの牧師であったこと、彼が演説の最後に言ったことを知る人は少ないのではないだろうか。
発音は違うが、マーティン・ルーサー=
マルティン・ルター 。
「すべての村やすべての集落、あらゆる州とあらゆる町から
自由の鐘 を 鳴り響かせる時、われわれは神の子すべてが、黒人も白人も、ユダヤ教徒もユダヤ教徒以外も、プロテスタントもカトリック教徒も、共に手をとり合って、なつ かしい黒人霊歌を歌うことのできる日の到来を…」
怒りや暴力、恐怖は視聴率を稼げる。しかし、平和的で進歩的な番組は、アメリカでは誰も見ない。
それを利用して、今までの歴史と向き合って、チャールトン・ヘストンの人生を描いたらどうなるのだろう。
人種差別を憎み、自由を愛したチャールトン・ヘストンの生涯は、一貫性がある。
太平洋戦争でアメリカ軍隊の一員だったことも、ライフル協会会長だったことも、矛盾することはない。
この魅力的な俳優の生涯をしっかり掘り進めてくれる、作家や監督はいない?
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