神聖ローマ帝国のモンサンミッシェル、オークニグスブール城

象徴…それは、壮大な企て。
モン・サン=ミシェルといえば、世界遺産に登録される、フランスを象徴する地方の観光名所だ。
カトリックの巡礼地、修道院という点に注目したのなら、「アルザスのモン・サン=ミッシェル」として、間違いなく挙げられるのは、聖オディール修道院だろう。
歴史的重要性、象徴という点に注目し、「神聖ローマ帝国のモン・サン=ミッシェル」を挙げるとしたら…
中世時代の城
それは、アルザスの空に浮かぶオー・クニグスブール城(Château du Haut-Kœnigsbourg)である。
名が体を表すオー・ケニグスブール 。
フランス語の「高い(Haut)」という単語と、ドイツ語の「王の城(Kœnigsbourg)」という単語が組み合わさった名前である。
標高約757mの山の頂にあり、アルザスワイン街道に行けば、その姿を遠くからでも伺うことができる。

初期に、神聖ローマ皇帝、ホーエンシュタウフェン家の「赤髭王(バルバロッサ)」ことフレードリヒ1世が所有したことで有名。
獅子の門
12世紀の獅子の門。獅子は、火をよける動物とされ、門に描かれる。

12世紀以降、古くは軍事的重要性から、後に象徴的意義から、城の持ち主は次々と変わっている。
ラスサムハウゼン家、ティエルシュタイン家、ハプスブルグ家、ジッキンゲン家…など。
中世時代の城

1633年、30年戦争中に破壊され、アルザスがフランスの領土となっていた約2世紀の間、廃墟の状態のまま保存される。大きなお城の修復は、莫大なお金がかかるから。
オークニグスブール城
1871年、アルザスはドイツの統治下に入り、城は、1899年、ドイツ皇帝ホーヘンゾレルン家のヴィルヘルム2世に寄贈される。

皇帝は、帝政ドイツの西の要所、権力の象徴として、城を建て直すことを決める。
中世時代の城
「神は我々と共にあり(Gott mit Uns)」と刻まれた、権力のシンボル、鷲の壁画

1900年、城の修復を任じられた建築家ボド・エバルドは、考古学、歴史学、土木工学、建築学等の研究を重ね、緻密な工事を指揮。1908年に完成させ、ドイツ、(大戦後は)フランスの軍事博物館として、利用されるようになった。

ジャン・ルノワール監督のフランス映画『大いなる幻影』のロケ地となった他、
映画の『ロード・オブ・ザ・リング』や『ハウルの動く城』にインスピレーションを与えた。
中世時代の城

現在も美しい姿をとどめるオー・クニグスブール城。しかし、その天守閣の高さ(高すぎる!)と形(四角ではなく丸!?)、風車(本当は人力で回していた!)、壁画(豪華すぎる!)など、当時は物議をかもした。
中世時代の城

シャーロックホームズ』のバンド・デシネも存在する。フィクションだが、実物に忠実な描写で、オー・クニグスブール城の歴史に宗教性まで与えていて面白い。
オーケニグスブール城
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