奇蹟は、それを信じる者に訪れる。
問題です。
ドイツ王、イタリア王、ブルグント王、ブルゴーニュ伯、シュヴァーベン公を兼ねた、中世で最も有名な皇帝、
赤みを帯びた髭を持ち「
赤髭王(バルバロッサ)」と呼ばれた神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世が、生まれたのは?

アルザスの
アグノー。アグノー城で、
1122年12月に生まれた。
(写真は、アグノー歴史博物館)
彼は、
ホーエンシュタウフェン家一族の名にふさわしいように、彼の父が建てた城を建て直し、礼拝堂を設置した。
城の礼拝堂の宝物庫には、キリストのいばらの冠、十字架の破片や釘などの遺物を保管した。

アグノーの
聖ニコラウス教会のイエス・キリスト像。皇帝が創設した貧しい旅人たちのための病院がもととなっている。
彼の治世下、アグノーの町は、大きく発展する。

武将としての優れた資質に加え、雄弁にして
人材登用にも秀でた人物であったと言われている。
完全なものではなかったが、イタリアに度々遠征し、王・皇帝としての権力基盤を確立させた。在位38年間のうち13年間、イタリアに滞在したが、1177年以降は、ドイツの統一に専念するようになった。
皇帝フリードリヒ1世は、アグノーの町から、
第3回十字軍の遠征に参加した。
この遠征は、数度にわたる十字軍の中でも特に有名で、
神聖ローマ帝国フリードリヒ1世(赤髭王)、
イングランド王リチャード1世(獅子心王)、
フランス王フィリップ2世(尊厳王)という、ヨーロッパの
3大勢力の王が揃って参加した。
しかし、1190年、皇帝は、第3回十字軍の遠征中にキリキアの小川で溺死する。

後に、アグノーは、神聖ローマ帝国の
帝都となり、アルザス十都市同盟の
首都となった。
ストラスブールの町を超える24の同業組合、
70の職業が存在した。

中世時代のアグノーの町のステンドグラス。
ドイツでは、皇帝は、天地の終末の時まで洞窟で眠っていて、いつか目を覚まし、統一ドイツを永遠に支配するという不死伝説がある。

12月9日~11日まで、アグノー劇場において、聖ニコラウス劇団が『バルバロッサ』を復活させる。アルザス語(&フランス語字幕)で。必見だ。
でも、待てよ…!?
バルバロッサが、今の時代に蘇ったら、アグノーは、ドイツではなく、(フランスの)アルザスだ。
こんな小さくて素朴な町から、統一ドイツを築き上げようとするだろうか?

アグノーとその周辺地域は、ストラスブール都市圏のように大きくないが、色んなものが揃っている。
川があり、森がある。
駅があり、病院があり、教会があり、公園があり、図書館があり、博物館があり、劇場がある。
小中高と公立・私立の学校があり、音楽学校があり、障碍者向けの学校がある。
市場があり、八百屋があり、肉屋があり、魚屋がある。
おいしいパン屋があり、レストランがあり、バーがある。
人々を魅了する陶器を手作りする工房が近くにある。

きっと、バルバロッサは、この地域の人たちを褒め讃えるだろう。
地上にある星を見て喜び、他の地域も旅するだろう。
人材登用に秀でた彼なら、それぞれの才能が輝けるようにするだろう。
世界各地に、その地域の特色を生かした
居心地のよい町をつくるのではないだろうか!アグノー城は、
三十年戦争で壊され、1677年から
ルイ14世の命で、完全に解体された。
アグノー城の跡地は、現在、
老人ホームとして利用されている。

赤髭王も、聖アルボガストも過去の人。
アルザス、アグノーの住民でも、知らない人はいっぱいいる。
でも…
老人ホームが、子供たちの声で溢れてくれるといい。

子供たちの声で溢れる、
アグノー森のように。
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