椿とマーガレットを巡る恋

日本原産の冬の花、椿
今日は、椿~マーガレットについて。

フランス版『ロミオとジュリエット』といえるアレクサンドル・デュマ・フィス著『椿姫』。
夜の世界(裏社交界)に生きた高級娼婦マルグリットと、情熱的なアルマンとのはかない愛を描いた物語である。
椿

作者のアレクサンドル・デュマ・フィスは、実際、自分が20歳の時に、7人もの大金持ちのパトロンを持つ高級娼婦マリー・デュプレシと出会い、恋に落ちた。付き合ったのは1年弱だったが、デュマ・フィスの人生を変える出来事だった。3年後、マリーは病死する。デュマ・フィスは、この実在した娼婦との思い出、実話を基にして、『椿姫』を書いた。

アレクサンドル・デュマ・フィスは信仰の人であった。
娼婦という不道徳なヒロインを描きながらも、徳の薄い人間を信仰に導くことによって、彼は自身の理想を示そうとした。
椿姫
「教育によって善を学ぶことがなかった女性に対して、神は、彼女たちが神のもとにたどり着けるように、苦しみという二つの道を用意している」

この『椿姫』、幾度も舞台化、映画化されている。
19世紀半ばに大ヒットしたヴェルディのオペラ、
20世紀半ばに、原作と同時代の作曲家フレデリック・ショパンの楽曲を用いて振り付けられたバレエなどが有名。
芸術には様々な表現方法がある。
オペラが好きな人もいれば、バレエが好きな人もいる。どちらも好きな人もいれば、どちらも嫌いな人もいる。
人と同じものが好きじゃなくていい。
芸術は自由に楽しもう。
椿姫
「美は死滅するが芸術は朽ちない」

ところで、椿と言えば、ココ・シャネルが愛したカメリア。
ココ・シャネルがカメリアを好むようになったのは、彼女の才能を見出したボーイ・カペルが白い椿をプレゼントしたのがきっかけだった。彼は、ココ・シャネルにとって、物心共に支えてくれる心強い盟友だった。
シャネル
ここ・シャネルの名言
翼を持たずに生まれてきたのなら、翼を生やすために、どんな障害も乗り越えなさい
人生を創造的で能動的なものとしてとらえていたシャネルの言葉の日本語訳。
だが、実は、ココ・シャネルがフランス語で実際に言った言葉とは違っているのだ。
日本とフランスの文化を反映した絶妙な訳。
翻訳って面白いなあと、つくづく思う。
Si vous êtes née sans ailes, ne faites rien pour les empêcher de pousser.

椿姫、マルグリット(=マーガレットのフランス語名)には、贅沢で高価な「椿」と、素朴で可憐な「野菊(マーガレット)」の魅力があふれていた。
ファウスト』のマルガレーテ(=マーガレットのドイツ語名)は、どこまでも純朴で敬虔な少女であった。

恋占いに用いられるマーガレット。
アルザス陶器によく描かれるマーガレットにも、
どこか純粋な愛の物語が隠されているのかもしれない。


ちなみに、マーガレットは、キク科(Asteraceae)の植物。タンポポやヒマワリもキク科。
「Asteraceae」の語源は、ラテン語の「Aster(星)」。
マーガレット
庭に広がるキク科の花々は、まるで地面に散りばめられたのようだったりして。
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